グローバルの研修プログラムに選ばれる IKEAにいた頃のお話

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僕が、本部に行くか行かないかの時のお話です。

その時、IKEAグローバル全体でグローバルのリーダー候補を集めて1年間リーダーシップ研修を行うという機会がありました。

今回は2回目の募集でした。

この募集で、希望者は課題を与えられ面接を行い7名ぐらいが選ばれる仕組みとなっていました。

1回目の募集は僕は応募しませんでした。

理由は、みんなからそっぽを向かれて色眼鏡でみられていたことを知っていたので、希望しても落ちると思っていたこと。その研修に行く前に、しっかりと自分の足下を固めたい、チーム作りをしたいと思っていたこと。最後に、そもそも、退職するのに研修費用をかけてもらうのは申し訳ないと思っていたからです。

しかし、この2回目の募集では、応募も何も、全員推薦という形で面接が始まってしまいました。僕は、その面接を受けるか悩みました。

みんなからの色眼鏡も取れて、チームもまとまっていました。今の仕事にも、自分のパフォーマンスにも満足していたし、受かる自信がありました。しかし、もうすぐ退職するのに、経費を使わせるのは申し訳ないと思っていました。

そして、1番仲の良かったTさんに相談することにしました。

Tさんを呼び、二人で焼肉を食べて話しました。

「僕は、もうすぐIKEAを辞めます。理由は、話していなかったけど、家業があり、そろそろ継がなければいけない」

とIKEA人生で初めて、自分の家業の話をしました。

今までずっと7年間、自分の家業については誰にも話をしていませんでした。

実家のことを聞かれたらうまくはぐらかしていました。

Tさんはとてもびっくりしていました。僕がIKEAでずっと働くものだと思っていたからです。

さらに僕は

「この研修プログラムに行くのはまずいと思う。なぜなら終了したらすぐ僕はIKEAを退職することになる」

と言いました。

もう、この話は本当にドキドキして話しました。この7年間、決して口を割らないトップシークレットを最も信頼する人に打ち明けたのです。

ただ、Tさんは僕の境遇を受け入れてくれて「受けるべきだ」と伝えてくれました。

「この研修を受けて、まだ残りたいかどうか決めればいい。1年間考える時間があるんだから」

と言ってくれました。

しかし、自分ではやはり研修に行くことに後ろめたさがありました。

でも、面と向かって断っては角が立つと思い、すんなり落とされる方法を考えました。

でもプレゼンテーションで落とされるのは、自分でも納得いきませんでした。準備万端で勝負はしたかったのです。しかし、受かるわけにはいかないので別の方法を考えました。

そして、思いつきました。

面接でラップをやったのです。

めっちゃ真面目な空気の重役が面接官の部屋で、自己紹介をラップでしかも日本語でやりました。

空気が凍りました。。。。

「終わったー。これでいいんだ!でも、少し研修いきたかったな」

と黄昏ていたら、1週間後に合格通知がきました。

どうも僕の友達のKTさんがこの選考に関与していて、その面接官の一人でもあって、全力で僕のラップの失態を訂正してくれたみたいです。どうやって訂正してくれたかは僕もわかりせんが、かなりの労力だったようで、たまにKTさんとお会いするとこの話をされ、僕を責めます。。。。

 

そして、僕は1年間のグローバルのリーダーシップ研修に参加することになります。

この1年は上海4回、香港1回、インド1回と2ヶ月に一度海外に行くことになります。さらにセールスリーダーとしてスウェーデンにもいったので1年に7回海外にいきました。この1年で自分の見聞はかなり広がったと思います。

しかし、飛行機は何回乗っても苦手で怖く。いつも死を覚悟して乗っておりました。

時間がきたのでこの辺で。

(写真は上海の夜の風景)