ファニチャーアウトレットの撤退 マエザワの5年間を振り返って

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2019年8月ピオンのアウトレットファニチャー店を閉店させました。
「大手になるにはスクラップ&ビルドが必要」
「できる経営者は撤退の判断が早い」
そんな誰かの言葉を聞いて、
「家具はニ◯リや◯京インテリアが進出してきてもう厳しい、先があまりない。赤字事業を撤退させて、雑貨一本でやっていこう!」
と意気込んで家具店を撤退する決断をしました。
そこで働くみんなの気持ちなんか考えもせず、
「これは前向きな撤退です」と、よくわからない言葉をカッコつけて言ってました。
閉店セール開始日から信じられないくらいのお客様が来て、信じられないくらいの売上が毎日上がり続けました。
あれ程あった頭痛の種であった在庫がみるみる減って行く過程を見て、なぜか、ものすごい違和感を感じました。「やめたかったんじゃなかったの?売上もあるし、在庫も現金になってるよ!どうしたの?」と粋がって決断した自分が耳元でささやいてきました。
そして、そこで一生懸命働いてくれる社員を見て、マエザワ家具店時代から来てくださっていると言う常連さんを見て、昔からの友達や先生が来てくれるのを見て、涙が止まりませんでした。
なんでこうなる前にもっと努力しなかったのかと自分を攻めました。
創業の家具を撤退させたアホの三代目と御先祖様からも社員からも言われている気がして寝れない日が続きました。自分で決めて泣いてりゃ世話ねぇなぁと自分を責め続けました。
大手にならなくてもいいし、立派な経営者になんてなれなくてもいい。
だから、もう一度やり直させてと願いました。
でも、もう戻す事も出来ず、ただただ広い2階のスペースだけが残りました。
アホな話、無くなって初めて株マエザワにとっての家具事業の大切さを感じて、途方にくれました。
その後の半年間は、ずっとこの事を考えてました。あんまり人とも会いたくない、とても苦しい期間でした。この期間色んな会に参加せず、すいませんでした。
半年たち、気持ちが切り替わりました。切り替わった理由はまた後日ご報告させて頂きます。
先日、公園を散歩していたら、花の横に「いつもきれいな花を咲かせてありがとう」と書いた札がささっていました。
これを見て、僕もその通りだなと思いました。花も苦しい時もあるけど、毎日一生懸命、自分で咲かせてるんだと思いました。誰も見てくれない日もあるかもだけど、そんなことは気にせず、精一杯咲かせているんだなと思いました。
同時に、街にとってお店は花のような存在じゃないかなと感じました。
いろんな花があって、見る人を幸せにして、あまり重要と感じられない日もあるかもしれないけど無いと困る、その地域を明るくするために咲いている、とても必要な存在かなと。
パッと咲いて散りゆく綺麗な桜に憧れていたけど、今は、苦しくても大勢から見てもらえなくても、毎日一生懸命咲かせる花でいたいなと思います。
一人でもピオンが好きなお客様がいらっしゃったらその人のために店を続けたい、その店が続けられるように、そのお客様が喜んでいただけるように、なんとか工夫して、やっていけたらいいと思っています。
経営者の同志のみなさん、
今、とても厳しい状況かもだけど、絶対皆さんのお店は皆さんの街に無くてはならない存在です。無くては困ります。続けて、続けて、続けて、花を咲かせ続けていきましょう。
これからも宜しくお願い申し上げます。
(Facebook 2020年4月5日の投稿です)