IKEAで会った日本人 3人目 IKEAの頃のお話

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IKEAで会った偉大な日本人3人目をご紹介します。

僕が出会ったIKEAで働く日本人はみんなそれぞれに尊敬する部分があり、とても偉大です。その一例として、3人ご紹介させて頂いております。

今回が最後のご紹介のお一人

それがTAKESHIさんです。

彼との付き合いがIKEAの中では1番長く、濃いと思います。

なにせ、大阪からの付き合いです。そして、家族で山に連れて行ってもらったり、彼はお酒は飲まないのですがお互いの仕事への価値観や人生観について長い時間語り合ったりしてました。

彼は、IKEAスエーデンで店長をやっています。日本人で店長です。本当にすごいことだと思います。外国の方が、日本のTOYOTAで工場長をやっているようなものです!

IKEAを退職した僕にとってはとてもうらやましいと思っていましたが、最近は、ここで自分のやりたい道が見つかったので、うらやましいとは思わなくなりました。

同期の中でいち早く店長になったTAKESHIさん。

人間としても大きく、仕事に対しても、チームに対しても逃げない姿勢、考え方にいつも刺激をうけています。

TAKESHIさんが言った言葉で印象に残っているのは

「売上よりも粗利だと思うねん」

「コムインは別に、売りたくなくて販売(セールス)の言っていることをダメだって言っているわけじゃない」

「特定の人に光を当てると必ず影ができる、光を当てずにみんなが輝く職場を作りたい」

の3つです。

順番に簡単にご説明させて頂きます。

 

「売上よりも粗利だと思うねん」

営業時代でも、IKEAで働いていた時も、僕は売上主義でした。売上をあげればOK、その先の会社が利益が出ていようが、いなかろうがあまり関係ありませんでした。「営業の自分を売上で評価してくれ」と思っていました。でも、TAKSHIさんは、いち現場マネージャーの時から、売上ではなく、粗利に注目して売り場作りをしていました。全員が売上をあげれば評価されると思っていた時期に、販売ができる利益を上げることつまり「粗利」を上げる考え方を常に持って働いていました。

(粗利について詳しくは、別の機会でお話します。)

 

「コムインは別に、売りたくなくて販売の言っていることをダメだって言っているわけじゃない」

IKEAにはコムイン(コミュニケーションインテリアデザイン)という部署があります。その部署が、売り場作りやPOPの作成を行い、セールス(販売)は売り場作りを行わないので、販売に専念するポジションで完全に分業のシステムが出来上がっています。

セールスはお客様の反応を直接みているので、売り場を変えたくて、変えたくて仕方がないのですが、その希望の大部分は、そのコムインによって却下されます。「IKEAのやり方ではない」と。

これがセールスの僕にとっては堪らなく窮屈で、いやで、良く喧嘩をしたり、勝手に変えたりしていました。

でも同じセールスの立場のTAKESHIさんは、

「コムインだって売上をあげたいに決まってるやん。その売上を上げる方法として、セールスの考えている方法だと、あまりにも短期的で、IKEAのブランドが崩れてしまい他の店と変わらなくなっちゃうからダメって言っているんだよ」

とバッサリと、当時未熟だった僕に、教えてくれました。

自分も売上あげたくて悶々としている時に、

「近くのすぐに捕まえられそうな鶏を食べるのではなく、その鶏に卵を産んでもらって長期的に生活をしていく。」

そんな考え方をTAKESHIさんは持ち合わせていました。

 

「特定の人に光を当てると必ず影ができる、光を当てずにみんなが輝く職場を作りたい」

これは、僕がピオンにきてから、電話で相談した時のTAKESHIさんから言葉です。僕は、店舗間で競争をしながら、お互い高め合っていく方法がモチベーションが上がると考えていました。そして、月間の競争を多く主宰していました。

そしたら、TAKESHIさんは、

「1位の人に光を当てると、他の人が影になるだろう。その影の人の方が実は多くて大きくて、その影を作らずに、みんなのモチベーションが上がる方法を考えてるねん。」

と言っていました。

はっとしました。

決して、TAKESHIさんは競争が嫌いな人ではないし、競争しても強い人なのに、そういう視点で大きく考えられる姿がとてもすごいと思っていました。

そのまま月間のコンペティションは続けましたが、競争せずにみんなが勝つ方法を来期は考えてあります。

海外にいても、今だに電話でいろいろな相談や報告をしてくれるTAKESHIさん。

いつか一緒に別荘を持とうと言ってくれいて、お金もないのに一緒に山中湖に物件を見に行った5年前が懐かしいです笑

今はスウェーデンにいますが、そのうち日本に戻ってきて、IKEAジャパンの社長になると僕は思っています。

僕はTAKESHIさんと、どっちが先に日経新聞の「私の履歴書」に出るか、長いマラソンレースをしているのです。

 

(写真は、TAKESHIさんの写真がなかったので、少し雰囲気が似ている香田晋の写真を載せます。TAKESHIさんは香田晋と中山秀俊と山本キッドを足して3で割ったイケメンです。)