IKEAにいた時のお話② ソファ売り場担当として① 2007年〜2008年

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<ブログ著者 前澤和宏について>

皆さん、初めまして。株式会社マエザワの3代目後継者の前澤和宏と申します。世界一楽しい空間を作るのが夢でそれを実現させるため静岡の家業に入社しました。ピオンが皆さんにとって地域のディズニーランドになりたいと思って頑張っています。会社経営をしたり、You Tuberをやったり、2児の父親だったり、ラッパーだったりします。このブログでは、僕の体験した事や感じた事を楽しくお伝えできればと思っています。宜しくお願いします。

1978.08.13生まれ

学歴 清水東高校卒・東京学芸大学卒・UC Berkeley Extension/Business Administration修了

職歴 Club Asia・For-side.com USA・For-side.com・TFMインタラクティブ・IKEA ジャパン

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IKEA鶴浜店がオープンしてから半年後、ソファ売り場のマネージャーになりました。入社当初は、キッチン雑貨売り場のグループリーダー(係長?的な役割)からスタートし、その後、ソファー売り場のマネージャー(課長)になりました。

IKEAは、オープンIKEAという社内公募で応募した者のみが、そのポジションへの昇格の権利を得ることが出来ます。しかし、自分の力よりも不相応な役職の募集に応募してしまうと、IKEAの価値観の一つである「謙虚さと意志力」の「謙虚さ」に反してしまい、自分の評価を落としてしまう可能性もあります。

僕は、そのソファ売り場のマネージャーのポジションが開いた時、全く興味がありませんでした。当時の売り場、チームのメンバーも好きだったし、もっとキッチン雑貨を勉強したいと思っていたためです。

ある日、当時ソファ売り場のグループリーダーをしていたKちゃんから「ソファ売り場のマネージャーになってくれないか」と相談を受けました。Kちゃんは、港北店から来た社員でソファ売り場をずっとやっている年齢は僕より若いものの先輩社員です。「いやいやいや、僕がなるべきではない。ここはチームリーダーのKちゃんがやるべきだ」と当然のように断りました。

前のソファ売り場のマネージャーは、ソファチームに馴染めず、会社にも馴染めずに退職しました。なので、僕がマネージャーになったら、同じ思いをするのではないかと恐怖心もあったのです笑。でもKちゃんは何度も僕に、この話をしてきました。「なんでもサポートするから」と言ってくれたのが決め手でした。そこまで言ってくれるならと、社内公募に応募して、面接までにソファの商品の名前を全部覚えて、売り場の改善点も分析して、準備バッチリの体制で面接に臨みました。そしたら、僕の人間性の質問ばかり。。。ビジネスの話など一切なく。「大切にしていることは?」「家族は?」「今までで失敗したことは?」など。答えのストライクゾーンも判らないまま、正直に答え過ぎたかなと思いながら、面接は終了。

そして、合格通知がきました。

のちのち、わかったことですが、IKEAバリューという価値観を重んじるIKEAでは、「ビジネススキルよりも人間性を尊重し、現在のパフォーマンスよりも将来のポテンシャル」を見極める面接のプロセスをふんでいます。この人選の考え方は今の仕事にも十分に活かされており、毎年の新卒採用にフル活用しております。

ソファ売り場のマネージャーになり、ここでもメンバーに恵まれ、とても楽しく充実した日々を過ごしたのですが、その中でも大きな出来事が3つありました。

それは

1.強烈なフランス人ドミ副店長との出会い

2.接客しない会社方針を曲げて、力一杯接客をする

3.  売り場テスト(コマーシャルレビュー)でのつるし上げ

です。

順に説明します。

1.強烈なフランス人ドミ副店長との出会い

僕が、ソファ売り場のマネージャーに就任して、1ヶ月後に、フランス人のドミという男が副店長としてやってきました。スキンヘッドのフランスなまりのとても強い、ガタイのでかい男でした。彼が来てから、ラブ&ピースでやっていたIKEA鶴浜の職場は一変しました。彼に逆らう者、意見をいうマネイジメント陣が、1ヶ月もしない内に、数名入れ替えをさせられたのです。僕の上司もそのうちの一人でした。その上司はご退職されました。頭もよく、人あたりの良い、尊敬すべき方でした。だから、僕はめちゃくちゃ怒りました。そんな、数週間で人を判断するなと。僕は刃向かいました。しかし、会議の場では聞き入れてもらえませんでした。それなら、力でと、でも素手じゃ勝てないからバット持って待ち伏せしようかとも思いました笑 でも、そんなことをしたら生まれて来たばかりの娘を露頭に迷わせることになるので、毎日、彼の机からペンを盗るという陰険な仕返しをしてました笑。

そしたら、矛先が僕に向きました。

いや、もっと前から向いていました。その時の鶴浜店のソファ売り場は、IKEAジャパンでも5店舗中5位、当然、店舗内でも1番パフォーマンスの低い売り場でした。

「なんでこんなにソファが売れないんだ」と毎朝そのドミに攻められました。

「そんなこと言われたって1ヶ月前から、この部署に来ているんだから解らないよ」と言っても、そんなのは、言い訳にしかなりませんでした。なにせ、その横では、他の役職者がバンバンその職を失っています。

「あー、終わった。ありがとう。俺の夢。大好きなIKEA。」

「でもアルバイトでもいいから残りたいな。。。」

なんて毎日思っていました。

そして、僕に科された彼からのミッションは、3ヶ月以内にソファ売り場を日本で3位にすることでした。

今5位のところ3位ですよ。。。。

いや、目指すなら1位でしょ!

と思ってしまうタイプなんです僕は。

その3ヶ月でソファ売り場を3回変えました。

なかなか売り場を変えないIKEAにとってクレイジーな動きでした。

大企業のIKEAで売り場変更をするには、社内調整と書類プロセスがとても重要です。いちマネージャーレベルの一存では、なかなか売り場を変えてもらえないのですが、そこは頭を使いました。

殿下の宝刀「ドミの命令は絶対」作戦を思いつきました。何かあるたびに「ドミの命令」と言いました。

今週末までに売り場を変えないといけないんだ「ドミの命令で」。

ソファをこの分余分に発注しないといけないだ「ドミの命令で」。

本当は俺はやりたくないんだけど「ドミの命令で」と連呼しました。

ちょっと難しいかなと思う場合は、前もってドミに「こんなことを考えているんだけど」とだけ言って、そしてそれを「ドミニックの命令」ということにしました。

当然、彼からはそんな命令を受けていません。でも、3位にするというミッションは受けているので、そのための手段は僕が考えたものでも、彼の命令のようなものです。

だから、売り場を変え続けました。

カルルスタードという、値段も手頃でカッコいいソファがあったので、これを日本一売ろうと決めて、マニュアルを無視して、このカルルスタードを売り場の4分の1にしました。

お店の在庫の半分ぐらいをこのソファで埋め尽くして、同僚に怒られました。今だに、それを責められることもあります。

今考えても大胆だったけど、理にかなったことをしていたなぁと感心してしまいます。

でも、売上は上がりませんでした。

そして、約束の3ヶ月になりました。

時間になりましたので、次回に続きます。

(写真は、ピオン清水店の家具売り場の写真です。IKEAの時の写真はありませんでした。。)